平成から新元号へ/Masters 会長 濱出健一

<コラム>平成から新元号へ/Masters 会長 濱出健一

 2016年天皇陛下が生前退位のご意向を表明されました。退位日を2019年3月31日とし、翌4月1日に皇太子様が新天皇に即位され、その日に新しい元号を施行することで政府は最終決定いたしました。
 昭和64年1月7日、当時の小渕恵三官房長官が“平成”と記された書紙を掲げた記者会見から30年と3ヶ月で“平成”という時代が幕を閉じ、新しい元号へと移行されます。インターネット上でも「次の元号は安久!!」というデマがツイッターで出回るなど次の新しい元号が何になるのか話題になっています。
 元号は漢の武帝の時代に中国で生まれ、朝鮮そして日本へ渡ってきた年の数え方です。元号は王や君主などの時代の権力者が定めていました。その時代に名称をつけるということは「土地や空間だけでなく時間も支配する」という意味を持ち、権力の象徴の一つになっていました。日本で最初の元号は、歴史の教科書で必ず習う「大化の改新」で有名な「大化」です。それから現在の平成まで1300年以上に渡って元号が使い続けられています(始まりの中国ではもう使われていません)。ちなみに「平成」まででトータル247の元号が使われています。
 天皇御一代につき一つの元号とされたのは明治以降であり、それまでは同じ天皇の在位中に改元されることは珍しいことではありませんでした。大地震や大火、飢餓の発生、疫病が流行した際に改元が行われてきました。改元には権力の象徴ではなく、厄災を振り切り新たな時代を切り拓くという願いが込められるほど、日本では元号を大切にしてきた歴史があるのです。
 「平成」という元号が選ばれるにあたって決められていたルールは6つ、①国民の理想としてふさわしい意味を持つ、②漢字二字、③書きやすい、④読みやすい、⑤外国を含め過去に元号やおくり名として使われていない、⑥俗用されていない、ということでした。他にも、書類上やパソコンの普及による、M(明治)、T(大正)、S(昭和)という各元号のアルファベットとかぶらないようにも考慮されています。
 「平成」には、国内外、天地とも平和が達成されるという意味が込められているそうです。平和ボケがささやかれる日本ではありますが、近頃の自然災害や隣国との緊張関係など平和が脅かされることが少しずつ増えてきているようにも感じます。新しい元号が、新しい風を日本へもたらしてくれることを期待したいです。